I SEE YOU !

by ASIF KHAN for DOGS WITH BLACK FUR

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この建築は黒い毛の犬のために制作しました。ウールをフェルト状に縫い目なく成形する立体表面で、リビングでおなじみのアイテムであるカーペットとローテーブルを組み合わせたようなデザインに仕上げています。犬はまるで新たな発見を求め冒険に乗り出すように、まずは地面を嗅ぎ回り、鼻先を少しずつ上げながら探検していきます。そんな犬の鼻先で描く「発見の弧」を建築の造形によって表現しています。この建築に出会う犬は床を這うソフトカーペットの匂いをまず確認し、次に上目使いになり、上昇するカーペットの緩やかなカーブに沿っていき、縁に届きます。その先のテーブルトップには穴があり、ひとたび愛犬がそこへ入り込んでちょこんと収まると、部屋中の注目を一気に集めることでしょう。黒羊のウールを何層にも重ねることで、この建築が犬の嗅覚にアピールし、温かく迎え入られるような空間を生みます。ここで使われるフェルト作成の工程は数千年前から変わっていません。フェルトは人類が初めて作った生地だと考えられています。こうした遥か昔から伝わる製作の過程に思いを馳せる事は、飼い主にとっても、とても豊かな時間となります。黒い犬には白い毛が部分的に生えている事がよくあります。そんな黒い犬が黒い生地に良く馴染んで、白い毛並みだけが美しく際立つ様子を想像してみて下さい。なんてシュールで楽しい光景でしょう!
ARCHITECT :

ASIF KHAN

アシフ・カーン(1979年ロンドン生まれ)はロンドン大学バートレット校と英国建築協会付属建築学校を卒業後、2007年にAsif Khan Ltd.を設立。大規模な文化施設やランドスケープから実験的な構造物に至るまで多岐にわたるプロジェクトで国際的に活動するかたわら、英ロイヤル・カレッジ・オブ・アートや武蔵野美術大学で教鞭を取った経験も持つ。近年の作品に、ロンドン博物館新本館(建設中)、2018年平昌冬季オリンピックの世界一黒い建物「ヒュンダイパビリオン」、2020年ドバイ国際博覧会の巨大なカーボンファイバー製エントリー・ポータルがある。グッゲンハイム・ヘルシンキ美術館設計コンペのファイナリストでもある。2014年にはカンヌ・ライオンズでイノベーション部門グランプリ、2018年にはドイツ・デザインカウンシルからアーキテクト・オブ・ザ・イヤーを受賞。その他2017年には建築における功績が認められ大英帝国勲章(MBE)を授与された。

PyeongChang Winter Olympics Hyundai Pavilion 2018. Photography by Luke Hayes | Guggenheim Helsinki 2015. Image by MIR | Expo 2020 Dubai Entry Portals 2020. Photography by Hélène Binet

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