トンネルの階段を駆け上がると人間と程よい高さで向き合える。人間のスケールと犬のスケールを平衡させる、言わば、尺度を調整する装置を考えてみた。展覧会の立案者として、未成熟かもしれないが、このプロジェクトの視点を体現する試みを、先んじて演じてみる必要があった。ここでは尺度の平衡という課題を想定してみたわけである。人間は自分たちのスケールに合わせて環境をデザインしてきた。たとえば、階段のステップ約15センチで世界共通である。これは人間の背丈や脚の長さによって自然に決まってきたものだ。椅子の高さやテーブルの高さ、ドアというものの存在や大きさも、さらに言えば家の大きさも都市の大きさも人間が人間の身体を前提に決めたものである。従って、人間の傍らで過ごす犬は、人間の尺度を否応なく受けいれなくてはいけない。この建築は、犬と人間が自然に視線を合わせるための装置である。上を向きっぱなしで過ごす超小型犬に、ぜひ試してみてほしい。

デザイナーである原研哉は、「もの」と「こと」との両方のデザインに重点を置く。原が、これまでに企画・プロデュースを手掛けた世界巡回展には、「リ・デザイン」、「HAPTIC」、「Japan Car」がある。展覧会ディレクターを努めた先端繊維を世界に紹介する試み「TOKYO FIBER-SENSEWARE」展は、2009年のミラノトリエンナーレで発表され、多大な反響を呼んだ。「長野オリンピック開・閉会式プログラム」や「愛知万博2005の公式ポスター」など原の作品には日本文化に深く根ざしているものも多い。2011年には北京を皮切りに巡回展「DESIGNING DESIGN 原研哉2011中国展」がスタートするなど、活動範囲はアジア地域にも拡大している。多くの著作も手掛け、「デザインのデザイン」や「白」は、他言語に翻訳されている。日本デザインセンター代表取締役。武蔵野美術大学教授。日本デザインコミッティー理事長。日本グラフィックデザイナー協会副会長。

MUJI Advertisement 2003, "Horizon" poster, Uyuni Salt Lake(2003)
HAPTIC logo(2004) │ TOKYO FIBER-SENSE WARE(2009)

SIZE W700 x D1000 x H700
WEIGHT APPROX. 4KG
DIFFICULTY NORMAL
FAB. TIME 2 DAYS